2018年10月28日(日)10時から、基山町立図書館 多目的室にて、「きやまRESASデジタルアカデミー事業」の第1回ワークショップが開催されました。Code for Sagaは、事業受託者の佐賀電算センターより依頼を受け、ワークショップの支援を行いました。今回、計6人のCode for Saga有志にご協力いただきました。

また、ワークショップ開催にあたり、基山町立図書館から、天本洋一館長、城本直子様、江上真太郎様にご支援いただきました。

本ワークショップには、高校生から80代の方まで、基山町をなんとかしたい、盛り上げたいという志をお持ちの方々7名にお越しいただきました。

ワークショップ開催の目的

基山町に起きている様々な地域課題に対し、基山町に関わる町民(通勤通学者含む)自身が、RESASをはじめとする統計データを活用しながら解決案を考え、提案することを目的としています。

RESAS(地域経済分析システム)

RESAS(Resional Economy and Society Analyzing System)とは、2015年4月に内閣府が提供開始したサービスで、国勢調査など何年もかけて全国規模で調べて集めた膨大なデータを見える化(絵図、グラフ化してデータの特徴を視覚的に解りやすくする)できるようにしたウェブアプリケーションです。国だけでなく、民間が持っているデータも含まれていて、誰でも無料でいつでも利用できます。例えば、ある地域の産業構造や人口構成、人の出入りなどを見ることができます。

出典:RESAS、産業構造マップより

ワークショップ概要

まず、天本館長からワークショップ開催にあたりご挨拶と趣旨説明および基山町の人口についてのお話がありました。次に、Code for Saga代表(牛島氏)より、Code for Saga紹介と町おこしや地域課題解決のための方策の一つとして、官民がネット上に公表しているオープンデータの利活用が重要視されている現状について説明がありました。

吉賀(本ブログ執筆者)は、RESASの操作説明を行いました。受講者へのサポーターとして、Code for Sagaメンバー(牛島氏、藤瀬氏、堀氏、寺田氏、遠田氏)に文字通りがっちり固めていただきました。この場を借りて感謝いたします。

午後から15時までは、「2030年の基山町がこんな街になっていたらいいな」というイメージを受講者のみでなく、Code for Saga、図書館職員の方も加わって膨らませていきました。その中で、基山町の特徴、いいところ、悪いところ、将来こうなっていたら人が集まってくるという希望などを、ブレインストーミングしながらピックアップしました。

次に、ピックアップした情報がどれだけ裏付けされているものなのか、RESASで確認できる豊富な各種データを見ながら、さらにネットの情報を探して確認してみました。この作業は、まずは、ネットにどんなデータがあるのかをある程度知った上で探す方が良いため、かなり大変なものとなりました。後日、各自でRESASでもRESAS以外でも、何か面白いデータが見つかりましたら、次回みなさんでシェアしたいと思います。

ワークショップを通じて、参加者の皆様の「基山をよくしたい」という熱い気持ちが伝わってくる会となりました。熱い気持ちに客観的なデータが添えられることで、より多くの人を説得し、動かすきっかけになるはずです。

地域振興・創生・データ分析関連図書の紹介

今回のワークショップは基山町立図書館で行われました。様々な情報を探し、活用するにはもってこいの場所です。ワークショップ開催前から、図書館職員の方々が多くの関連書籍を集め、短く要約・紹介したものを手書きポップにしてくださいました。

また、江上様よりスライドでも関連書籍のご紹介がありました。これらの書籍は事業終了後図書館で展示していますので、ワークショップ参加者であるかないかに関わらず、ぜひ図書館にお立ち寄りいただき、参考にしていただけたらと思います。

図書リスト

「今後の対策を考えるにはデータだけでは難しい。例えば、人口減少があるとしも、実際どのようなことが起きるのか?データだけではイメージするのは難しい。」
→「そのために図書館にある本がヒントになります。」

  1. 「2020年日本の大問題」 洋泉社 2018年
    • これから人口減少で起こりうる現象を具体的に書かれた本。後期高齢者が2000万人となり、社会保障制度の限界がくる。10年で8%超のペース、5件に1件が空き家になる。認知症が730万になる。人口減少を具体的にイメージする手助けになります。そのためできることなども参考に書かれています。
  2. 「未来の年表」 河合雅司著 講談社現代新書 2017年
    • こちらもこれから人口減少で起こりうる現象を具体的に書かれた本。
      ・深刻な火葬場不足が起きる。
      ・自治体の半数が消滅の危機に。
      ・ひとり暮らし社会が本格化する。
      ・介護離職が大量発生する。
      今後の状況をカレンダー形式で書かれています。そのためできることなどもこちらはかなり具体的に書かれています。
  3. 「地方創生まちづくり大事典」竹本昌史著 国書刊行会 2016年
    • 人口減少社会でどう地方を活性化するのか?全国各地で具体的にどのような取り組みがなされ、どのような成果を収めているのか。全国の取り組みを北から南までなんと193例を収録してあります。基山町の活性化のヒントが見つかるかもしれません。
  4. 「ヨーロッパ・バイオマス産業リポート」西川力著 築地書館 2016年
    • オーストリアでは森でエネルギーの自給ができています。急峻な地形、高い人件費など日本以上に厳しい条件の中でなぜ、林業が栄え、バイオマス産業がビジネスとして成り立つのかが書かれています。山の多い、基山町の活性化のヒントが見つかるかもしれません。
  5. 「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」村上敦著 学芸出版社 2017年
    • コンパクトシティ化に成功しているドイツ。日本の中心街活性化などとどこが違うのかを書かれています。キーワードは動線の短さ、住宅の集合化、自動車を使わない交通網の充実、そして自転車の利用。基山町の活性化のヒントが見つかるかもしれません。
  6. 「フランスはどう少子化を克服したか」高崎順子著 新潮社 2016年
    • 少子化を克服しているフランス。人口減少の最大の原因である少子化の対策をフランスの事例を元に書かれています。大転換のカギは手厚い支援策の根幹をつらぬく新発想だった。基山町の活性化のヒントが見つかるかもしれません。

そのほかの資料

  1. 行政情報
    • RESASには様々なデータを見ることができますが、それでもまだ足りない情報はたくさんあります。総合計画や、老人福祉計画など基山町が刊行している資料には、RESASにないデータがたくさんあります。こちらも会場に置いていますので、ぜひご利用下さい。
  2. RESAS以外の統計情報
    • インターネットで基山町立図書館のHPを検索していただくと、トップページの下部に様々なデータベースを見ることができます。特に政府の統計がたくさん載っているe-statは様々な統計集まっていますので、こちらなどもご利用下さい。

(図書リスト・そのほかの資料の項目内の文章は全て基山町立図書館 江上様のスライドより引用。)

次回予告

第2回のきやまRESASデジタルアカデミーは、11月23日(祝・金)10時~15時です。今回挙げられた課題のいくつかについて解決策を立案します。第1回に来られていない方でも、基山町立図書館に申し込みしていただければ参加できます。次回もよろしくお願いします!