本イベントは、2018年10月13日午後、佐賀大学本庄キャンパス、総合研究棟1号館で開催されました。

参加者は、学生、IT企業、大学教職員、自治体など多種多様なバックグラウンドをお持ちの方20名でした。佐賀をITの力で住みよい街にしたいという意欲に満ち満ちていました。

【UDCの取り組みについて情報共有】

まず、Code for Saga代表牛島清豪さんから、Code for Sagaの紹介と、これまでのUDC(アーバンデータチャレンジ)の取り組みについて経緯の説明がありました。

UDCは、公共データを使って地域課題を解決する全国的な取り組みを、各拠点地域イベントおよび毎年のコンペを通じて発信する場です。Code for Sagaは、UDC2017にて、交通事故対策をテーマにしたスマホアプリ「めくるん」でアプリケーション部門の銀賞をいただいた実績があります。

今年UDC2018 in 佐賀は、公共交通の利用促進をテーマに3回のワークショップを計画しています。今回はその第1回です。

特に、県内のバス利用について、IT技術、ウェブで公開を始めたばかりのバスの乗り換えデータ、柔軟なアイデア、そして地元市民の熱意で何とかできないかと考えています。

【シビックテックの可能性】

小俣博司さん(OpenKawasaki/Code for Kawasaki/東京大学生産技術研究所)をお招きし、シビックテックとは何か、アメリカと日本におけるシビックテックの意味合いの違い、神奈川県川崎市で主催されているオープン川崎、Code for Kawasakiなど、ウェブやIT周辺の世界に留まらず、市民参加型社会の形成を目指した数多くの取り組みをご紹介いただきました。

(キーワード)

シビックテック:人々の平等を実現したり、課題解決に役立てるためにテクノロジーを使用しようという活動。

市民参加型社会:老若男女様々な市民が、それぞれの立場を超えて、社会的な課題をざっくばらんに議論し、社会に反映させることができる社会。

【佐賀県における公共交通データ整備とオープンデータ化】

前山恵士郎さん(佐賀県新幹線・地域交通課)からは、先日佐賀県からのプレスリリース(http://www.pref.saga.lg.jp/kiji00365090/index.html 平成30年10月9日)が出たばかりの、オープンデータ化したバス情報の提供についてご説明をいただきました。なお、前山氏ら県は、高崎光浩さん(佐賀大学全学教育機構准教授)と連携して、国土交通省が定めた標準的なバス情報フォーマットによるデータ作りを行ってきました。

また、高崎さんには、前山さんとのシステム開発についての苦労話や作成したモックアップを即興で披露していただきました。

佐賀県の路線バス情報のデータ(http://opendata.sagabus.info

地元のバス事業者から、規格が統一されたオープンデータ(実質誰でも使用できる利用許諾のもと、ウェブ上に公開されるデータ)で提供されると、そのオープンデータを使って、一般市民、学生、事業者などから、ニーズに応じたスマホ用アプリなどが作られる可能性が高まります。もし、便利なアプリを使い、バス移動が快適になれば、今まで自動車で運転するしかなかった場所まで、歩きとバスで移動するという新たな選択肢が生まれます。

もちろん、以前からこのようなバス情報を提供している事業者は多数ありますが、県主導でバス情報を公開している事例はこれまでありませんでした。

データをオープンかつ標準フォーマットにすると、データの作り手としてのバス事業者が、別の事業者バスとの連携などを考慮しながら、より楽にダイヤ編成できるといったメリットを享受できます。

一方、県は、付加業務を増やさずに、データ配布と管理の役割に徹することができます。加えて、地元の基本的な交通インフラのデータを地元自治体を通じて提供することで、データ自体の信頼度も高まると考えられます。

本キックオフイベントの翌日には、Google Maps に佐賀県のバス情報が反映されていました。ちなみに、バス情報のうち、各バス停での佐賀市営バス接近情報(もうバスが来たか、遅れていないか)は、時刻表と一緒に掲示されているQRコードから取れます。バスが通過したかどうかすぐ分かり、安心です。

【GTFSデータについて】

堀良彰さん(佐賀大学全学教育機構教授)からは、佐賀県が採用した国土交通省が定めた「標準的なバス情報フォーマット」の基となったGTFS(General Transit Feet Specification)データ形式について、成り立ちの経緯、GTFSの中身、この規格が普及した理由などをお話しいただきました。

GTFS成功の要素:

  • 小規模の共同チームと誰でもわかる具体的な目的
  • オープンスタンダードとして公開
  • フォーマットや仕様が簡素
  • 参加したバス事業者や民間業者にビジネスインセンティブがあること

詳細は、その時の講演スライドが配布されていますので、ご参考ください。(https://www.slideshare.net/horiyo/gtfs-general-transit-feed-specification

【ライトニングトーク】

  • SAGAミライ☆起業家塾(佐賀県産業企画課・小野原公子さん)
  • 佐賀県産業スマート化センター概要(EWM・遠田浩太さん)
  • UDC2017ファイナルステージ発表体験とそのポイント(佐賀電算センター・藤瀬裕一さん)

【ワークショップ】

本イベントのメインであるワークショップでは、ブレインストーミングよるアイデア出しを行いました。

その結果、自由度の高すぎる様々なアイデアが多く寄せられました。似たようなアイデアをいくつかのグループに分けましたので、各人で関心のあるアイデアを選び、より具体的なストーリーを練ってきてもらいたいと思います。

次回11月のワークショップでさらに煮詰める予定です。

【予定】

  • 第2回目は、11月17日(土)午後 前回決まったアイデアをブラッシュアップするワークショップ
  • 第3回目は、12月8日、9日(土日):アイデアを形(アプリやサービス)にするワークショップ