2019年2月9日(土)13:30〜17:30、佐賀大学理工学部6号館2階多目的セミナー室(佐賀市本庄町1)にて、Brigade Meetup in Kyushu が開催されました。今回は九州地区の「Code for」を含むシビックテックを実践している個人、団体、そして自治体の方を中心にご参加いただき、運営に関する情報交換、交流を行いました。

主催は、Code for Kyushu、Code for Kitakyushu、Code for Fukuoka、Code for Kurume、Code for Nagasaki、Code for Oita、Code for Miyazaki、そしてCode for Sagaです。

共催は、Code for Japan、特定非営利活動法人NetComさがです。

当日、東京方面は冷え込んで雪となり、交通の乱れが起きましたが、幸い佐賀は傘の不要な小雨程度でした。

ブリゲードとは?

Code for Japanが提供する連携プログラムに参加している各地のコミュニティを、Code for Japan Brigade(ブリゲード)と呼んでいます。
http://www.code4japan.org/brigade/

参加対象

・Code for の活動に参加している方
・Code for はじめシビックテック活動に興味のある方
・ICTやデータを使った地域活性に興味のある方

ですが、自分たちで自分の街の課題を解決を試みる「シビックテック」に興味がある方ならプログラム的なものが書けなくても全然問題ありません。

なぜなら、プログラムを書くための「データ」自体が不足していたり、どこからかの許可が必要だったりなど、「プログラミング以外の問題」の方が問題なのが実情だからです。例えば、Code for Fukuokaの公園アプリ作成のお話では、公園がどこにあるのか、どんな遊具があるのか、といったことは、管理者である自治体に聞いても意外に出てこないということを、今回お聞きできました。どんな分野でも、この問題はついて回ります。

プログラム

13:30 オープニング 〜Code for Japan代表 関 治之  ,  Code for Saga代表 牛島 清豪

13:45 データアカデミー事業紹介 Code for Japan、Code for Fukuoka、福岡市役所

14:15 ブリゲード活動報告 九州内のCode for Xの皆さんからの活動報告

15:15 休憩(15分)

15:30 オンラインメッセージ 各地からのオンラインメッセージ

16:00 みんなで井戸端会議 〜フィッシュボウルセッション 「Code for Xと地域の未来(仮)」

17:00 クロージング(座談会まとめ)

17:15 記念撮影

17:30 終了

18:30 大交流会(佐賀大学かささぎ会館)

グラフィックレコーディング

また、今回のような催しを文字でなく、リアルタイムでわかりやすく絵図にしてくれるグラフィックレコーディングが生で行われました。話し合いが進むにつれ、どんどん絵ができてくる様が大好評でした。

まずは、奈良県生駒市から来ていただいた吉田友子さん作グラフィックレコーディングの結果をご覧ください。

Code for Japan データアカデミー(自治体でのデータ活用促進)事業紹介

ブリゲード(各地区Code for)活動報告1
ブリゲード(各地区Code for)活動報告2

データアカデミー事業紹介とブリゲード活動報告については、上記グラフィックレコーディングの通りです(笑)各地区で、個人で進めているところ、大小グループ活動で進めているところと規模は様々です。やりたい人がやるのがシビックテックですので、モチベーションの維持、技術的困難、人不足、課題の本質的解決、トップの交代などなど、悩みはたくさんあります。今回のBrigadeのような集まりで、同じ境遇の人たち、立場が違う人たちに、活動状況をありのままにシェアすること自体に大きな意義を感じました。

オンラインメッセージ

まず、筑波大学の川島宏一先生(元佐賀県最高情報統括監CIO)からメッセージを頂きました。川島先生は、シビックテックを持続していくには、メンバー構成が多様であることが大事であることと、コアメンバーが7-10人程度のグループでコアメンバーを構成しているとまとまりが良いということをお話しされました。

また、九州の人たちは県民性が際立っているということもおっしゃられていました。人のまとまりが他の地区に比べ良いそうで、何か九州ならではで、できることがあるのではないかと期待を寄せられていました。

サンフランシスコからオンラインでコメントのCode for Gifu 石井さんは、楽しく&精力的にシビックテックを行なっている方のひとりですが、「代表が楽をする」ということを今年は考えられているそうです。知らず知らずに代表だけが燃え尽きるのを防止する為にも、代表周辺も気をつかうのは大事だなと思います。

ともに考えともにつくる!行動する人たちの集まり=Code for X

Code for Japan代表関治之さんからは、行動する人の繋がり、集まりをサポートする事業内容の紹介をしていただきました。

  1. データアカデミー事業(自治体向けデータ利活用セミナー事業):データ活用型公務員の育成事業の取り組みについては、Code for Japan 佐藤拓也さん、Code for Fukuoka 徳永美沙さん、福岡市IT戦略室 植村雅代さんから紹介がありました。
  2. ソーシャル・テクノロジー・オフィサー派遣
  3. ソーシャル・ハックデー開催
  4. オンラインアカデミー
データアカデミーでの役割分担。ファシリテーターとコンサルタント、自治体職員の協力がデータ駆動型人材育成の要。テクニカル面は重要でない。

植村さんには、実際に福岡市でデータアカデミーを行なった体験として、今回は、福岡市、隣接自治体で大きな災害が起きた場合の施策とその費用対効果算出(シミュレーション)についての紹介を行なっていただきました。

徳永さんからは、研修が進むにつれ、これまで、担当する課や地域が違う職員が一緒になって施策を考える機会はあまりないため、最初は戸惑いがありましたが、何度かの研修で自発的な意見交換ができるようになってきたというお話をいただきました。

また、施策には、役所内での定石があり、それを踏襲しがちですが、時に市民目線とは大きくかけ離れていることがあります。具体的には?とCode for Oitaの佐藤哲也さんが質問したところ、施策を立てることを最優先するあまり、例えば、子供連れの親子だったら災害時にどう動くだろうか、など被災者それぞれの立場から考えるところを省きがちで、費用対効果優先になってしまうところがあったそうです。

事業自体の詳細については、Code for Japanページをご参照ください。

Code for 活動持続の秘訣は、義務感にかられ過ぎずに、活動を楽しむ、1人でも全然問題ない、とにかく続けていき、人とつながることです。続けている人はどんどん楽しそうだし、自発的・前向きで幸せそうに見えるとのことでした。

みんなで井戸端会議 〜フィッシュボウルセッション 「Code for Xと地域の未来」

フィッシュボウルセッション:中央で円になっている人だけが発言し、周囲の人は発言している人たちの話を聞きます。発言が終わったら適宜交代できます。

Meetupの最後は、以下のテーマでフィッシュボウル形式の雑談会を行いました。

テーマ:

① Code for X と地域活性

② Code for X と行政

③ Code for X とビジネス (割愛)

④ Code for X の未来

Code for X と地域活性

2025年の未来には…

  • 地域に様々な形で関わる「関係人口」が増えるといいな
  • 地元の人達自身がデータを活用して、良い店、ダサくない店を作っていけたらな
  • コードを作ってアプリができたら、アプリが作れないところでもデータを入れたら使えるようになってたらいいな
  • 情報発信できる人(地域というよりも)で集まってくるので、ぜひ、もっと情報発信していきましょう!
  • 2013年あたりにCode for活動が起き、その5年後には休止中のCode for が小さいながらにもリブートしてきた。小さい団体も動きやすいので悪くない。「この人に聞けばこの街のことがわかる」的なつながりができるといいな
  • じわじわ小さいグループができて街が良くなるといいな
  • ICTを本当に武器にしたいが苦労してます
  • シニア世代(60代以上)とのコラボも大事になってくる
  • 学生さん頑張ってくれるけど、会社に入ると地域活性しづらくなる。若い人たちの活躍できる場づくりも必要

Code for X と行政

  • どんどんニーズ(業務)が出来ているにも関わらず、公務員はどんどん減らされている。そんな時Code forは解決の糸口になるかもしれない
  • 奈良県生駒市は専業主婦率が高いので、主婦の起業支援ができないか考えているところだが、Code forも行政に協力している
  • 人口減少の自治体では、どのようにシビックテック活動の裾野を広げていくか思案している
  • オープンリーダー研修を行い、地域の市民活動のリーダー担い手を育てようとしている
  • 業務の効率化を進め、個人の手作業とスキルに依存していた業務をできるだけ情報技術で自動化できるようにしている
  • 問題意識を持って集まっているわけではない団体では、社会の課題を見つけることがなかなか難しい。オープンデータの利用で課題解決をしていけるようになれば良い
  • 行政に携わる人たちには、「シビックテック」という言葉の意味を知らない人が圧倒的に多い 将来行政の人がシビックテックを知るといいと思う
  • シビックテックをやっている市民と行政とがいかにうまく繋がっていけるか、良いきっかけとなる事例が欲しい。
  • シビックテックと行政がうまくつながるきっかけとしては、何か形になるものがあると良い。例えば、5374アプリは手を出しやすいものだった
  • 公園アプリについては、行政の人が思いの外協力してくれた。Code for市民として行政の人達にアプローチするのは、うまいやり方かもしれない。自治体側も人不足の折、助かる面も多い。困っていることを伝えることだけでもシビックテック活動の起点になり得る
  • バス運行データに関しては、手作業だったものを電子化して作業を効率化することができた。その際、Code for側にもデータができたという情報を行政側から提供していただけた。

Code for X の未来

  • 一部の人が頑張りすぎているように見えて、心配なのが正直なところ ひとり重要人物が抜けるとグループがなくなりそうなので、その辺のノウハウを知りたい
  • 自分の身内にもCode for、オープンデータで何をやっているのかわかるようにしたい
  • 人と技術、企業がつながる中で、Code for が街の活性化を促すためのハブとなることを期待
  • Code for は地域、家族ぐるみでゆるくお付き合いできる団体でいて欲しい
  • ハッカソンやるときは、子供同士で遊べるようにすると技術系の人たちも活動しやすい
  • 地域のことに全く関心がない、災害が起きて非難勧告しても動かない、全てが人任せの人達に、自分たちのことは自分たちで見守るという考え方を知ってもらえたら
  • シビックテックに関心のない地域で、楽しく課題解決をする経験を行なっていくことで、少しずつ人材を増やしていけたら良いと思う
  • IT技術が地域の生活を大きく変える下地を作っていけることをより多くの人が知り、シビックテック活動の意義が大きくなっていけば良いと思う

以上、断片的ですが、雑談内容を拾いました。ご参考ください。

クロージング

最後は、本Brigade Meetupで浮かんだキーワードをA4に書いてもらいました。(集合写真参照)

大交流会

佐賀の新鮮な魚、持ち寄った日本酒、焼酎をいただきながら、Code for Japanの小泉勝志郎さん(シニアプログラミング指導など紹介)、Code for Miyazaki 落合謙次さん(公務員&ひなたGISを構築)、Code for Saga 杉本達應さん(アートポータルサイトpotari紹介)、Code for Fukuoka 後藤孝之さん(ISIT(九州先端科学技術研究所)イベント紹介)、Code for Ikoma 吉田友子さん(グラレコについてインタビュー)、NetComさが・Code for Sagaの吉賀夏子(小城藩日記データベース紹介)がライトニングトークを行いました。お酒が入ると皆様さらにパワーアップされてました。

佐賀までお越しいただいた皆様、ありがとうございました!